長崎県の医療の現状。南は天国、北は・・・大きな格差。
長崎県全体の医療体制
長崎県に住んでいる方、移住をお考えの方にむけて書いてみます。
また、現在は2015年ですが、資料には数年前のものも含まれます。
主観も入っているので、その点はご容赦ください。
長崎県内の医師数と病院数
医師数 | 4,049人 |
人口10万対医師数 | 287.6人 |
病院数 | 154施設 |
※2012年12月現在
全国平均は、10万人当たり235.8人ですから、
長崎県全体では、医師の割合は全国より高くなっています。
病院数については154施設となっています。
さらに診療所も含めればたくさんあると思いますが、
対応できる症例や、設備、勤務医の数などにより千差万別です。
病院数よりも医師数で比較した方が、より地域の現状が分かると思います。
長崎県内の医師の分布状況 ※2012年12月時点
長崎県内の各地域について、医師の分布状況を細かく見てみましょう。
各地域の人口10万人に対する医師の数 出典:ながさき地域医療人材支援センター
地域によって3倍の格差がある
上の図を見ると、地域による医療体制の格差が一目瞭然です。
長崎医療圏と県北医療圏では3倍の格差があります。
格差を分かりやすく説明
長崎市付近と比べて、松浦市や平戸市は3倍の格差があります。
「長崎市は都会だから、医者数も多くてもしょうがないよ」
と思う方も多いと思います。
でもそうじゃありません。
長崎市の医者は、「3人で1,000人を担当」
しているのに対し、
松浦市や平戸市の医者は、「1人で1,000人を担当」
している事になるのです。
もっと分かりやすく説明
長崎市の小学校は「1クラス30人制」です。
松浦市の小学校は「1クラス90人制」です。
果たして1人の先生で90人の生徒を管理できるでしょうか?
あなたなら、どちらの学校に子供を入学させますか?
こういった状況です。
各地域を詳しく見てみましょう。
長崎市は最高に恵まれた状況
378.8人/10万人
長崎市には「長崎大学病院」があります。
「長崎医療圏」は医師の割合が378.8人/10万人です。
非常に恵まれた状態です。
諫早市、大村市もかなり恵まれている
大村市には、ドクターヘリを運用する「長崎医療センター」があります。
「県央医療圏」は医師の割合が300.3人/10万人です。
これまた恵まれた状態です。
佐世保市も全国平均よりは上
佐世保市には、4つの大きな病院(総合、共済、労災、中央)があり、
「佐世保市立総合病院」には、救急救命センターがあります。
「佐世保医療圏」は医師の割合が252.6人/10万人です。
やや低いものの全国平均より上です。
さらに2014年には、救命救急センター新棟も出来上がり、
医師数は増えているようです。
島原半島、五島、対馬は全国平均以下
島原半島は170.8人と全国平均以下です。
また、最寄の長崎医療センターまでの
搬送に1時間以上掛かる地域が多いようです。
五島や対馬は離島ですので、やはり医療体制は良くない傾向のようです。
五島は三次救急の拠点はありませんが、
2.5次救急までは対応できるようです。
壱岐や小さな離島はかなり悪い状況
壱岐市は離島で、人口も少なめのためか、医師不足のようです。
医師の割合が130.6人/10万人です。しかも減少傾向です。
その他の小さな離島もかなり悪いと思われます。
壱岐市からのドクターヘリでの緊急搬送は、
長崎医療センターのほかにも、
福岡県の久留米大学病院にも搬送されます。
久留米大学病院には「高度救命救急センター」があります。
ちなみに「高度救命救急センター」は、九州には2箇所しかありません。
「久留米大学病院」と「大分大学医学部附属病院」です
長崎県北は離島より悪い
松浦市、平戸市などの県北地域では、大変な医師不足です。
医師の割合が126.8人/10万人で最も悪いです。
長崎市と比べれば、3倍の歴然とした格差があります。
ただ、佐々町に関しては、県北と言えども、
佐世保市内まで車で10分程度で移動できます。
松浦市や平戸市については、
二次救急の医療体制もかなり悪いと思われます。
松浦市は公立の市民病院が診療所に格下げとなり、
民間の病院が何とか支えている状況です。
県北地域では「北松中央病院」や「平戸市民病院」が
二次救急を支えているイメージですが、医師不足は深刻です。
急性心筋梗塞に対応できるのは「北松中央病院」のみ。
「急性心筋梗塞」は、患者数が多く、死亡率の高い病気です。
「急性心筋梗塞」に対応できる病院は、佐世保を除く県北地域(北松地域)では、
循環器内科医師2名が所属する「北松中央病院」のみです。
「北松中央病院」には、循環器内科医師が2名が所属しています。
※平成21年の状況
脳卒中に対応できる病院は1件もない。
佐世保を除く県北地域(北松地域)では、脳卒中に対応できる病院はありません。
※平成21年の状況
出典:
長崎県地域医療再生計画(佐世保・県北圏域)
(救急医療機能の整備を軸とした地域医療連携体制の構築)
産婦人科がない
さらに、平戸市には産婦人科が1件もなく、松浦市にも1件しかありません。
西九州自動車道の完成が待たれる
最近は、佐世保ありきでの医療といった感じです。
医療施設を拡充するというよりも、
佐世保へのアクセスを効率化する方向で考えるほうが現実的です。
実際、西九州自動車道が全線開通すれば、松浦市、平戸市北部などは
1時間以内に「佐世保市立総合病院」の「救命救急センター」に
車で搬送できると思われます。
それにしても、離島でもないのに、同じ県内でこの格差は、
やはり問題ではないでしょうか。
松浦市や平戸市は、佐世保市を頼る以外にありません。
長崎県の三次救急医療の体制
長崎県には、高度な救急医療体制(三次救急)を整えた病院が3箇所あります。
「三次救急」というのは、
命に関わる救急搬送などで、高度な施設や専門医がいないと
対応できないような医療のことです。
【県南地域】
長崎大学病院(救命救急センター)・・・長崎市
特徴は以下の通り。
◆日本初の西洋式病院が起源。
◆県内唯一の大学病院。
◆平成22年4月に救急救命センター開設
【県央地域】
長崎医療センター(救命救急センター)・・・大村市
特徴は以下の通り。
◆昭和54年に県下初の救命救急センターを設置
◆平成18年12月よりドクターヘリ運用開始
◆平成26年10月に「県央がんセンター」を開設
【県北地域】
佐世保市立総合病院(救命救急センター)・・・佐世保市
特徴は以下の通り。
◆平成24年4月に救急救命センター開設
◆平成26年3月に救命救急センター新棟(6階建て)を落成
まとめ
長崎県内の医療体制・医師数については、地域によりかなりの格差があります。
医療体制の強化のためにそれぞれ色んな取り組みがされています。
- 医師の派遣
- 医療拠点の整備
- 画像診断システムの導入
- ドクターヘリ運用
- 搬送道路の整備
過疎化の進む地域では、大きな投資も出来ないので、
ITの活用や道路整備など色々な手段を使って医療体制を整えていく必要がありそうです。
救急救命センターが長崎市、大村市、佐世保市に確立され、
ドクターヘリや画像診断システムも活用されているようですので、
そういう部分に期待したいところですね。
もし、長崎県で働いてみたい医療関係者の方がいらしたら、
ぜひお願いいたします。
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以上、素人ながらにまとめてみました。
ではまた!
出典:長崎県ホームページ
長崎県地域医療再生計画(佐世保・県北圏域)
(救急医療機能の整備を軸とした地域医療連携体制の構築)
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